7章 エデンの生活たち 物乞い編②

ドキドキしつつ、会計でシールを受け取ったことを確認したお客さんに声をかけてみた。

「あのーもしよろしければ、そのシールいただくことはできませんか?」可能な限り丁寧で、綺麗な英語を選んだつもりだ。(真偽不明)

これは私の主観なので、なんとも言えないが、1人目のお客さんは、ゴミを見るような目で私をみて、近づかないでくれと言わんばかりの雰囲気で立ち去っていった。当然である。

おそらく日本でも同じような対応をされることだろう。しかし、こちとら無職である。失うものなどとうに無い。そのまま1時間繰り返し、のべ30人以上に声をかけたが、

8割はゴミを見る目(主観)

2割は英語が通じない(これは私のせいもある)

全ての人間に断られた。

心が折れ、家に帰ろう。普通の人はそうなるだろう。しかし私は違う。何せ無職だから。

どうせ家に帰っても、ひたすらショート動画を見るだけである。

海外移住用に買ったIPHONE PROMAXもその活用のされなさに泣いている。

そんな断られ続ける中ついに一縷の光が見える。

あるおばさん(私にとっては天使)が1枚のシールをくれたのである。

ここであることに気がつく。もしかして大切なの笑顔か。

ふと自身の振る舞いに立ち返る。

もし私が店でシールを受け取ったとして、それが不要なもので、店を出た後にどんな人ならこのシールをあげても良いか?

気まずそうにしている人。

遠慮がちな人。

いや違う。

笑顔で元気な人だ。

ここで私は作戦を変更した。

とにかく明るく、元気に声をかけてみることにした。

もらえなくても、元気にありがとうを言おう。

そして次の1時間。作戦は大いに成功したのである。

次の1時間では、15枚ほどのシールをもらうことができた。やはり元気で明るいことは万国共通の強みなのだ。そのまま合計3時間を経過したところで、30枚が溜まり、目標とする50枚までは、半分を超えた。

しかし、とにかく明るく元気な無職にとって、3時間立ちっぱなしは厳しい。

薄々気づいてはいたが、2時間半を経過したあたりから、ガラス越しにレジ打ちのおばさま達が明らかにこちらを怪訝そうな目で見ている。非常に気まずい。

なんならバイトの若いお兄さんも、私を牽制するためか、出口周りのモップがけを執拗に行っている。モップがけをやめては時間をおき、モップ。また私を確認してはモップ。これは完全にマークされている。

流石に気まずいのと、3時間経過して半分以上のシールを集めたので、今日はここで引き上げようと思った。

待てよ、これ明日来たほうがもっと気まずいんじゃないか?

休みが長ければ長くなるほど復帰のハードルは上がる。不登校の子の心理である。

それなら今日やりきるしかない。と思い。そのまま2時間。トータル5時間かけて無事にシールを52枚集めた。(最後の1人が3枚くれたので枚数オーバー)

一応集め終えた後には店員さんに敬意を表し、一礼をしておいた。

久々に労働をしたような疲れを感じ、帰路につく。

今日はたくさんの教訓を得た。万国共通で「明るいこと」「元気なこと」が非常に重要だということ。

もう辞めようかなと思った時に、自身に立ち返り改善をすることで事態が急転する可能性があること。

プライドを捨てると人は何でもできるということ。

家に戻り妻に今日の出来事を意気揚々と報告したら、死ぬほど怒られた。もう二度としません。

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