12章 いにしえの香港の伝承④

まだまだ、私が住んでいるマンションの部屋には問題点が山ほどある。

例えばシャワーの排水だ。

香港には基本的に湯船は無く、シャワーのみなのだが、シャワーの排水が非常に弱い。

シャワーのお湯がしっかりと出てくれるのは、アジアでは珍しく有難いことなのだが、シャワーの湯量をマックスにすると、排水が弱すぎて追いつかない。

簡単にいうとシャワー10に対して排水7位なので、3割分のお湯がずっとシャワー室の床に溜まるという現象が起こる。

何度も排水溝の掃除もしたし、日本から超強力な水道管のぬめりとりや、薬剤を投入して中の詰まりを取ろうとしたが、効果はゼロである。

諦めてシャワーの水圧を7程度に絞り体を洗うことに。せっかく水圧もまぁまぁよくて、お湯も出るのに、非常に勿体無いし、鬱陶しいことこの上ない設計である。

そしてトイレも困っている。

一般的にトイレは、水を流すと自動的にタンクの中に水が吸い上げられ、一定の水位まで貯水された水が次回のトイレで使われる仕組みなのは日本と変わりはない。

しかし、うちのトイレの場合タンクの中に水が吸い上げられても水が自動的に一定の水位で止まらず、無限に水が流れ続けるのだ。

それはトイレの蓋を開けて、中の水位を調整している部分を直せば良いと思ったことだろう。

当然我々もその水位を調整する部分を何度も手を汚しながら直そうとしたが、全然直らないのだ。

トイレの機嫌が良い時だけ、たまーに自動的に止まってくれることもあるが、10回に1回程度で、仕方がないので組み上げてくれる水道の蛇口の元栓をオフにするという対応をとっている。

これがまた非常に面倒で、特に夜中にトイレで起きた時が非常に苦しい。半分寝ぼけている中、トイレの水が自動で止まるか、その場にいて確認する必要があるのだ。

たかだか1分程度の事なのだが、これが毎日何回もとなると、非常に煩わしいのである。

ちなみに香港のトイレの水は、海水を汲んでいるらしく、その水の中にあるミネラル分が凝固するのが原因かと思い様々な方法を検索してみたが、結局どれも効果が無く、未だにトイレの前で待つ儀式は行われている。

当たり前にトイレが自動で止まる環境に慣れていたので、そのありがたみ関してはここでの生活で改めて感謝である。

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